パルムドール万引き家族について
ネタバレありなので嫌な方は避けてください。
この作品がなぜパルムドールなのか。私なりに考えてみた。そもそも、カンヌ国際映画祭は外国で行われる他の映画祭と比べ、日本の作品を受け入れているとみている。
日本の極めて貧困層に値する家族が万引きをして生活をしているという設定が第一にある。そこに親に部屋を出された女の子とその家族が遭遇する。そしてなんとなく一緒に住む。といったストーリーの中、話が展開されていく。
作中、その家族のキャラクターは個性豊かに彩られ、それぞれの怒りが混在する。家族はそもそも血の繋がっていない他人同士であるということは作中での最大の驚きであり、そこから作品に引き込まれた。
是枝裕和監督のゆったりドキュメンタリーのような作品作りは今作でも観られる。
家族一人一人にフォーカスされているため、役者の演技に注目していきたいと、観客は視線を向けるだろう。
逆に物語自体はオムニバスのように転々とする流れになっているので、視点をどこに向ければ良いのか私は戸惑ってしまった。
ラストに向けては疑問を抱いた。
松岡茉優は結局どういった選択をしたのか。ヒントがあれば良いのだが、見受けることができなかった。そして、女の子が外を覗くのばなぜか。画が顔のアップとかではなく、引きで撮られていたため謎に感じてしまった。今思うと、また来てくれるのではと外をみたのではないか?と思った。
日本特有の動きだけで語るシーンはいくつか見受けられ、個人的に好きではなく、ため息が出てしまった。
役者の演技はパーフェクトだった。実力派揃い。脇役も演技が上手い役者たちを集めていたため見応えがあった。特に、樹木希林や安藤サクラ、松岡茉優は素晴らしかった。
この作品はまさに役者の演技をみせる構成になっていると思う。そして、出演した役者は本当に素晴らしい演技をしていたと感じた。
役者の演技と作品の主題、家族ではないという衝撃がパルムドールにつながったのではないかと考える。